西宮労働基準協会

■年俸制の従業員に割増賃金を支払う義務があるのか?

●年俸制の従業員に割増賃金を支払う義務があるのか?
Q 割増賃金の支払いに関しておたずねします。先日、当社の従業員が年俸制であっても時間外労働や休日労働などの割増賃金の支払いは必要なのではないかといってきました。当社としては、割増賃金分も含めて年俸を決定しているため、割増賃金の支払いは必要ないと考えているのですが、実際のところはどうなのでしょうか。

 
A 労働基準法第37条では、使用者が労働者に対し、時間外労働や休日労働を行わせた場合には、割増賃金を支払わなければならないとされています。そのため、年俸制の労働者であっても、時間外労働や休日労働をさせた場合には、割増賃金を支払わなければなりません。

しかしながら、割増賃金相当分を含めて年俸額を決定することができないわけではありません。このことについて行政解釈では、「一般的には、年俸に時間外労働等の割増賃金が含まれている事が労働契約の内容であることが明らかであって、割増賃金相当部分と通常の労働時間に対応する賃金部分とに区分することができ、かつ、割増賃金相当部分が法定の割増賃金額以上支払われている場合は労働基準法第37条に違反しないと解かされる」とされています(平12・3・8基収第78号)

つまり、就業規則や労働契約書等で、年俸額に割増賃金相当分が含まれていることが明確に規定されていれば、割増賃金相当分も年俸額に含まれているとみることができるわけです。

例えば、ある月に時間外労働を40時間した場合、その月の割増賃金相当分が30時間分(年間360時間)となっている場合には、年間で見て時間外労働が360時間以内であっても、その月については、別途10時間分の割増賃金の支払いが必要になります。

ご質問では、割増賃金分も含めて年俸を決定していると主張していますが、年俸のうち、割増賃金分が明確になっていない場合には、その根拠がないわけですから、時間外労働などの割増賃金は、年俸とは別に支払わなければなりません。

行政解釈でも、「年俸に割増賃金を含むとしていても、割増賃金相当額がどれほどになるのかが不明であるような場合及び労使双方の認識が一致しているとは言い難い場合については、労働基準法第37条違反として取り扱うこととする」とされています。

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