西宮労働基準協会

■有名店で食事するために移動中に負傷、労災か?

●有名店で食事するために移動中に負傷、労災か?
Q先日、当社の従業員Aが仕事中に交通事故に遭い負傷しました。Aの話によると、事故当日は、出張で他県の得意先を何件か回る予定となっており、その得意先を回る途中だったというのですが、交通事故に遭った場所は、どう考えても得意先を回る経路とはかけ離れている場所でした。
そこで、詳しく話を聞くと、昼食をとるため、県内でも有名なラーメン店に行く途中だったということでした。このような場合でも、業務上となるのでしょうか。
A私的行為に該当する可能性が高く業務以外に労働者の負傷が、業務上と認められるためには、業務遂行性と業務起因性が認められなければなりません。
業務遂行性とは、労働者が労働契約に基づいて、事業主の指揮命令に従い仕事をするというように、事業主の支配下にあることをいいます。また、業務起因性とは、業務または業務行為を含めて労働者が労働契約に基づき事業主の支配下にあつことに伴う危険が現実化したものと経験則上認められることをいうとされています。ご質問は出張中に昼食をとるため、出張場所とは全く異なる場所で被災した場合、業務上災害となるのかどうかということです。
一般に出張の場合、労働者は、出張命令の範囲内において、事業場を離れ、出張先で用務を遂行し、事業場に戻るものであり、その間すべてが事業主の支配管理下にあるといえます。
したがって、出張の場合、出張に出た時点から換えるまでのすべてに業務遂行性が認められます。
つまり、出張に伴い当然に付随する行為、例えば、出張先近くのホテルに泊まりそこで食事をするとか、お風呂に入るという行為などもすべてが業務に付随する行為となり、業務遂行性が認められます。
そのため、労働者が出張先で行った積極的な私的行為により負傷した場合でない限り、その間の災害は、業務上と認められます。
では、出張中であっても、業務遂行性が認められない私的行為とはどのような行為を指すのかについてですが、一般に、映画を見に行くとか、泥酔してけんかするといったようなものが該当します。
また、出張中の災害について、業務上と認められた過去のケースをみてみますと、社有車を運転して長期出張業務を修了し帰宅途中に交通事故で死亡したケース、出張先において当日の作業を終え宿舎への帰途路上でバイクにはねられ負傷したケースなどがあります。
一方、出張先での手間時間中に海水浴をして溺死したケース、出張先で飲酒後旅館のニ階から転落して負傷したケースなどは、私的行為によるものであるとして業務外とされています。
以上のことから、ご質問のケースをみてみますと、昼食をとりに行く途中で事故に遭ったということからすれば、昼食をとるという行為も、通常、出張に伴い当然に付随する行為といえます。しかし、Aさんの場合、有名なラーメン店に行くため、出張先からかけ離れた場所に向かい、事故に遭ったということですから、出張に伴う付随行為というよりも、私的行為に該当する可能性が高いでしょう。
したがって、Aさんの場合、ラーメンを食べに行く行為に合理性が認められない限り、業務上災害とはならないでしょう。
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