Q 労働基準法第37条の定めによると労働者に時間外労働、休日労働、 深夜労働などを行わせた場合に法定の割増率異常の割増賃金支払い義務があることは承知しています。近年新聞などのマスコミ媒体で「割増不払残業」という言葉を目にしたり、聴いたりします。この言葉は「違法に割増賃金を支払わずに、時間外労働等に就かせる行為」であると認識しています。当社においては、コンプライアンス(法令遵守)の観点から、「賃金不払残業」撲滅に取り組んで久しくなり、社員の関心も高くなっています。事案の性質上、世の中の「賃金不払残業」の実態や全容はその把握が困難かとは思いますが、その概要を判明する範囲で教えて下さい。 |
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A 兵庫労働局が、平成23年度に前年度に把握した賃金不払残業について、好評したものがありますので、抜粋ですがご紹介します。 平成22年度の兵庫労働局における賃金不払残業に対する監督指導結果について ~46企業で約5億6千万円を遡及支払い~ 1兵庫労働局(局長 白川鉄也)では、平成22年度(平成22年4月から平成23年3月末まで)に管下11労働基準監督署において、賃金不払残業(所定労働時間外に、労働時間の一部又は全部に対して所定の賃金又は割増賃金を支払うことなく労働を行わせているもの。)があったとして、労働基準法第37条違反の是正を指導し、割増賃金等を追加して支払わせた事案(遡及支払い額が1企業に当たり100万円以上のもの。)について、その結果を取りまとめた。 結果の概要は別紙1のとおりである。 2賃金不払残業の解消対策については、兵庫労働局では、厚生労働省が策定した「賃金不払残業総合対策要網(平成15年5月23日付け)」に基づき、各種対策を推進している。 3 しかしながら、今なお労働時間管理に問題が認められ、是正指導を必要とする事案がみられるため、今後においても、労使が主体的に取り組むべき事項の周知啓発、「労働時間訂正化キャンペーン(11月)」の実施、同キャンペーンの期間中に集中的な監督指導の実施等、労働時間管理の適正化のための各種対策を引き続き推進することとしている。賃金不払残業に対する監督指導による是正結果 (平成22年度における遡及支払分) 1 対象事案 定期監督及び申告に基づく監督を行い、労働基準法第37条に定める割増賃金等の支払いが履行されていないものについて是正を指導した結果、不払になっていた割増賃金が平成22年度(平成22年4月から23年3月まで)中に遡及して支払われたもののうち、その額が1企業の合計で100万以上のもの。 2 兵庫労働局の割増賃金の遡及支払の状況表1 100麺以上の割増賃金の是正支払事案
表2 1000万円以上の割増賃金の是正支払事案
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(1)遡及是正企業数は46企業、遡及支払を受けた労働者の合計は3,575人、遡及支払額の合計は5億676万円であった。 (2)1企業当たりの平均金額は、役1,102万円であり、労働者1人当たりの平均金額は約14万円である。 (3)業種別にみると、企業数は製造業が16企業と最も多く、商業の12企業がこれに次ぐ。 遡及支払を受けた労働者数は、製造業が1,188人と最も多く、次いで教育・研究業の1,132人であり、蓋企業で全体の約65%を占めている。 (4)1企業当たりの遡及支払額が1千万円以上のものは10企業、遡及支払を受けた労働者の合計は2,402人、遡及支払額合計は4億1,500万円である。(1企業当たりの平均金額は4,150万円、労働者一人当たりの平均金額は約17万円) また、業種別にみると、企業数では製造業が4企業でも最も多く、対象労働者数及び遡及支払額では教育・研究業が990人、1億9,559万円で最も多い。3 兵庫労働局の割増賃金遡及支払事案の推移表3 兵庫労働局の100万円以上の割増賃金遡及支払事案の推移
(注)対象事案は、定期監督及び申告に基づく監督 を行い、労働基準法第37条違反を指摘し、各年度(4月から3月末まで)に遡及是正させたものであって、遡及支払額が1件100万円以上のもの。 平成22年度の遡及是正企業数46は、平成21年度の遡及是正企業数と比較して、役48%増加している。 |