西宮労働基準協会

■「9.11」

●「9.11」
株式会社 永瀬 代表取締役専務 

永瀬 隆一

2001年9月11日、某日経会社のニューヨーク支店に勤めていた私は朝一番の配送の為、アメリカ人パートナーが運転するトラックの助手席に座りターンバイクを北上していたところ、ふいにラジオから聞こえてきたニュースに耳を疑った。マンハッタン市内で飛行機事故発生、世界貿易センタービルにジャンボ機が突入、炎上。続報を待つうちに2件目の配送に向かう。リバーロードを南下する私達は衝撃的な光景に息を飲む。ハドソン川を隔てて1キロ先に見えるツインタワーから灰色の煙が立ち昇り、近辺のビル群も煙に覆われていた。川沿いにトラックを停めた私達は呆然と眺めていたが、気がつけば私の目からは涙が溢れていた。事態は詳しく理解していないが、あの煙の中では何百何千の尊い命が奪われていることは想像できたからである。15年前に芦屋で体験した阪神大震災の時の情景が再現され、圧倒的な力の前では何も出来ない絶望的な涙であった。その後、飛行機事故が報復の為のテロ行為だと判明し、震災の時とは全く違うことを思い知らされる。テロ当日の午後からマンハッタンは厳重な警戒態勢が布かれ進入経路には全て検問所が置かれた。数日後私もライフル銃を持った兵士に身元を調査されてマンハッタンに入った。テロにより命を落とした日本人駐在員の遺族の帰国準備を手配するためである。56丁目に面した高級アパートにはガックリと方を落とした未亡人と無邪気にはしゃいでいる幼い子供がいた。おそらく子供は父親を亡くしたことを理解していないのだろう。純粋に輝くその瞳が心に痛かった。その時、私はこう思った。この子が成長して全てを理解した時、父の死を受け入れることが出来るだろうか?人種や国籍を問わず人を信頼することが出来るだろうか?

いずれも数千人の命を失った痛ましい事件であったが、地震は天災であった。人の力ではどうしようもなく、それが理解できるからこそ阪神間の人々は必死で前向きに復興に尽力することが出来たのだと思う。しかしながら9年前のテロは明らかに人が意図的に起こした戦争である。戦争を体験することが少ない世代に生まれながら、不幸にも他国の戦争の犠牲になってしまった人々の気持ちを考えるとやり場のない怒りが込み上げてくる。

偶然にも2つの大きな事故に遭遇したが、今でも9月になるとニューヨークのことをよく思い出す。あのときの子供の目は今も光輝いているだろうか、と。

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